2017年04月29日

東芝監査法人変更とオリンパス取締役賠償590億円

監査で適正意見が得られない場合どうするのが普通か、前回のエントリでは監査法人を変更すると書きましたが、さっそく東芝が監査法人を変更しようとしているとの報道が出ています。なんでも準大手の監査法人だとIFRS(国際会計基準)に対応できないらしく、その際は国内基準に変える(戻す)そう。そこまでして財務諸表にお墨付きをもらって何の意味が、と思うのは自然でしょう。

東証の上場廃止基準のうち「虚偽記載又は不適正意見等」は以下の通りです。
a.有価証券報告書等に虚偽記載を行った場合であって、直ちに上場を廃止しなければ市場の秩序を維持することが困難であることが明らかであると当取引所が認めるとき
又は
b.監査報告書又は四半期レビュー報告書に「不適正意見」又は「意見の表明をしない」旨等が記載された場合であって、直ちに上場を廃止しなければ市場の秩序を維持することが困難であることが明らかであると当取引所が認めるとき

2015年5月の粉飾発覚時点でaの虚偽記載に抵触しているのですから、今回のbの「(監査)意見の表明をしない」の時点ですぐに上場廃止にすべきなのでしょうが、東証は決断できないようです。

先立つこと2011年に粉飾が発覚したオリンパスの取締役に590億円の損害賠償命令が下りました。違法配当の認定額が大きかったようですが、相当な金額ですね。東芝の場合は今のところ違法配当はなさそうですが、現時点で債務超過である以上、どの時点で損害を認識していたか捜査の手が入るようなことがあれば不利な証拠はいろいろ出るでしょうから、何としても会社を存続させたい、たとえ儲かる事業を手放してでもこの場を切り抜けたいという態度にも見えます。

posted by rhasumi at 23:41| Comment(0) | 日記

2017年04月19日

監査意見不表明で決算発表

上場企業は事業年度ごと有価証券報告書、3月ごと四半期報告書を提出しなればなりませんが、有価証券報告書には監査人の監査報告書、四半期報告書には四半期レビュー報告書の添付が求められています。要するに監査法人のチェックを受けてから決算せよということです。四半期報告書に対するチェックは監査とは呼ばず、監査の簡略版であって監査ではないのでレビューと呼ぶというのは、業界のこだわりのようです。

通常、監査報告書または四半期レビュー報告書には適正意見というものが書いてある、つまり監査人は報告書の内容が信頼できると認めますというお墨付きがついているわけですが、今回(17年4月)の東芝の四半期報告書の四半期レビュー報告書には適正意見ではなく意見不表明というレビューの結果が記載されています。

東芝・IR資料室

監査意見は適正意見、不適正意見、意見不表明の3通りありますが、後の2つが出ることはまれでしょう。監査の途中で監査法人が適正意見を出せないという見込みが生じると、契約を解除し、別の監査法人と契約しなおすということもあります。

適正意見も、無限定適正意見と限定付適正意見の2通りあります。限定付適正意見というのも稀ですが、一番ありうるケースは継続企業の前提に疑義があると監査人が認めた場合です。

「継続企業の前提」というのは難しい概念ですが、今回(17年4月)の東芝の四半期報告書と四半期レビューにも継続企業の前提に関する重要な疑義が生じていると注記がされました。継続企業の前提に疑義がある場合というのは、まさに今の東芝が陥っているような状態をいうわけですが、なぜ今までつけていなかったのにわざわざ継続企業の前提に疑義があると注記をつけるのは、財務諸表が継続企業を前提に作成されているためです。継続企業を前提しないと財務諸表、特に貸借対照表はどう作成されるべきかを考えるのがよいですが、全ての資産・負債を時価評価すべき、決算日に会社の財産を全て整理するとこれくらい債権者や株主に返せるという表を作るべきということになります。

継続企業の前提の注記とは、言ってしまえば、もし明日東芝が倒産すれば四半期報告書に記載の財務諸表は無意味になり、改めて会社の財産を整理して債権者に返し、残余があれば株主に返しますが、いくら返せるかは財務諸表からわからないので注意してくださいね、といういわば警告です。
posted by rhasumi at 13:33| Comment(0) | 日記

2017年04月15日

日本の将来推計人口

2017年4月10日に厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所より日本の将来推計人口(平成 29 年推計) が公表されましたので、確認しておきましょう。社人研は5年ごとの国勢調査(直近は2015年)の結果公表後のおよそ1年後に将来推計人口を公表しており、前回公表は2012年1月でした。

足元の合計特種出生率の回復傾向(15年は1.46)を反映して、出生中位の仮定では前回比で出生率を高めにおいています。
trf.bmp


といっても出生率は置き換え水準(2.1程度)より大幅に下回っていますので、前回ほどの人口減少ペースではないにせよ、総人口の減少傾向が続くことには代わりありません。約50年後の2065 年の総人口は出生中位ケースで8,808万人と1億人を大幅に下回る水準になると推計しています。将来人口推計は政策的には公的年金の財政見通しに影響しますが、今回は前回推計よりは人口減少の速度や高齢化の進行度合いは緩和していますので、大きな問題にはなりにくそうです。


posted by rhasumi at 19:24| 日記